経理の1年は、毎月の決算を土台に、いくつかの山が順に重なる形をしています。3月決算の会社なら、大きな山は法人税と消費税の申告がある5月12と、年末調整から法定調書の提出まで続く12月から1月です34。期限の多くは法令で決まっており、会社ごとの差は主に規模、上場の有無、延長の特例の使い方から生まれます。経理の経験がある人は、「直近の制度変更」の章だけ確かめれば足りるでしょう。
忙しさの全体の水準を統計で見ると、経理に近い分類の月の超過実労働時間は、年齢計で8時間、25〜29歳で10時間です5。決算の時期にどれだけ増えるかは、この数字からは分かりません。土日の勤務を示す統計は確認していないため、休日の扱いは求人票と面接で確かめてください。
月別の年間スケジュール
下の表は、3月決算で申告期限の延長がない会社を例にしました。どの行を担当するかは、会社の規模と担当の分け方で変わります。未経験で入る場合に任される範囲は、面接で確かめてください。
| 月 | 主な業務と期限 |
|---|---|
| 4月 | 前期の決算整理と決算書の作成。申告は事業年度終了の日の翌日から2か月以内1 |
| 5月 | 法人税と消費税の確定申告と納付。5月末が原則の期限162 |
| 6月 | 定時株主総会の対応7。労働保険料を年に1度計算して申告する年度更新が6月1日から8。上場会社は有価証券報告書を事業年度経過後3か月以内に提出9 |
| 7月 | 社会保険料の基準を決める算定基礎届、年度更新、源泉所得税を半年分まとめて納める納期の特例は、いずれも7月10日まで10811 |
| 8月 | 第1四半期の集計と社内報告。上場会社の第1四半期決算短信は原則として四半期終了後45日以内12 |
| 9月 | 社会保険料の計算のもとになる標準報酬月額の決定額は、9月から翌年8月までの各月に適用10。給与計算に反映する月は社内の手順で確かめる。上半期の締め |
| 10月 | 年末調整の準備。国税庁の案内は10月から1月にかけての日程3 |
| 11月 | 年末調整の書類回収。上場会社の半期報告書は期間経過後45日以内の政令で定める期間内13 |
| 12月 | 年末調整。その年最後の給与の支払時で、通常は12月分143 |
| 1月 | 支払いの内容を税務署に出す法定調書は翌年1月31日15。給与支払報告書と、会社の設備などを市区町村に申告する償却資産の申告も1月31日1617 |
| 2月 | 期限が後ろへずれた年の提出。令和8年分の法定調書などは令和9年2月1日4。次の決算の準備 |
| 3月 | 棚卸、残高確認。延長の特例の申請は最初に適用を受ける事業年度終了の日まで18 |
表にない手続きが加わる会社もあります。
期限の日が土曜、日曜、祝日に当たると、国税の納期限は翌日に移ります19。そのため令和8年分の年末調整に係る源泉所得税は令和9年1月12日(火)が納期限で、納期の特例なら1月20日(水)です4。法定調書と給与支払報告書の提出、源泉徴収票の交付も令和9年2月1日(月)が期限になります4。
算定基礎届は、10日が土曜か日曜なら翌営業日が期限です10。2027年7月10日は土曜日に当たるため、規定どおりなら後ろへずれますが、日本年金機構の令和9年度の案内は確認できていません。労働保険の年度更新は、7月10日が土曜なら7月12日までです8。償却資産の申告も、2027年の期限が2月1日になるかは自治体の案内で確かめてください17。
毎月の仕事と期限
請求書の処理、入金と支払の確認、仕訳、月次決算は毎月くり返します。これに重なるのが源泉所得税で、給与などを支払った月の翌月10日までに納めるのが原則です11。給与の支給人員が常時10人未満の場合は、税務署長の承認を受けて半年分をまとめて納める特例があります11。この特例の期限は、1月から6月分が7月10日、7月から12月分が翌年1月20日です11。
ここから先は、経理の実務についている人向けの確認です。仕事の全体を知りたい人は、次にすることへ進んでください。
直近の制度変更
- 年末調整:基礎控除の引上げ等により、令和8年12月に行う年末調整など同月以後の事務が変わります20。
- 源泉徴収票:令和9年1月1日以後は、市区町村へ給与支払報告書を出すと、税務署へ提出したものとみなされます21。受給者への交付は引き続き必要です21。税務署へ出す範囲も変わり、令和9年1月1日以後は、年の途中で退職した人で支払金額が30万円以下の場合を除くすべての給与等が対象です21。
- 法定調書:令和9年1月以降の提出から、前々年の枚数が30枚以上の種類はe-Taxなどでの提出が必要です15。
- インボイスの経過措置:免税事業者などからの仕入れで一定割合を控除できる措置は、令和8年10月1日から80%が70%に変わりました22。今後の割合は月次決算の流れにまとめています。
- 経過措置の上限:一の相手からの課税仕入れの合計が、税込みで年または事業年度に1億円を超えると、超えた部分には使えません23。令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます23。
- 2割特例:令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了します22。個人事業者向けの3割特例は法人の対象外です23。
- 防衛特別所得税:令和9年1月1日以後に生ずる所得から、源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額が創設され、復興特別所得税は1.1%に下がります4。合計2.1%は同じで、源泉徴収税額の計算方法は変わりません4。令和9年分の源泉徴収税額表は改正されているので、1月の給与から新しい表を使います4。
- 飲食料品の消費税率:令和9年4月1日からの引下げが案内されています22。引下げ後の税率は確認していないため、国税庁の特設サイトで確かめてください。
決算後の手続き
定款の定めなどで事業年度終了後2か月以内に定時総会が招集されない常況にある会社は、申請により法人税の提出期限を原則1か月延ばせます24。会計監査人を置く会社などには別の定めがあり、延長の期間は条件によって変わるため、勤務先の扱いを確認してください24。延長した期間には利子税がかかります25。
消費税は法人税の延長で自動的には延びません。延長特例を受ける法人が届出書を出すと1か月延長され、延長された期間の利子税も納めます26。
令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは、防衛特別法人税の確定申告書も必要です27。令和8年3月31日以前に開始した事業年度は不要です27。期限は原則として同じ2か月以内で、税額が0でも申告は必要とされています27。
申告の後は書類の保存です。法人は帳簿書類を確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存し、欠損金額が生じた事業年度などは10年間となります28。会社法では会計帳簿の閉鎖の時から10年間です29。税法と会社法で数え始めが違う点に注意してください。
上場会社の開示
金融商品取引法の四半期報告書は廃止され、改正規定の施行日は令和6年4月1日です3031。第1・第3四半期は取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化されました30。東京証券取引所のガイドブックは、各四半期終了後45日以内の開示を原則とし、45日目が休日なら翌営業日までとしています12。短信の任意化は2023年時点で継続検討とされ30、その後の結論は確認できませんでした。他の取引所に上場する会社は、その取引所の規則と各社の開示予定で確かめてください。
次にすること
まず、応募先の決算月を会社の公開情報で調べ、上の表を月ごとにずらして読み替えます。次に上場の有無を確認し、開示の仕事があるかを見ます。面接では、決算のどの段階までを担当するか、その時期の残業はどのくらいかを質問すると、1年の忙しさがつかみやすくなります。
経理の経験がある人は、担当した月を表に書き込んでみてください。職務経歴書の年次の欄を埋める材料になります。税理士試験を受ける人は、8月の行に試験の時期を重ねて見ましょう32。税額や期限の個別の判断は、税理士や税務署に確認してください。
出典
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e-Gov法令検索「法人税法 第74条」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「No.6601 申告と納税」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
国税庁「令和8年分 年末調整のしかた(手順などの説明)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「令和8年分 年末調整についてのお知らせ(リーフレット)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第5表」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「法人税法 第77条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「会社法 第296条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
厚生労働省「労働保険料の申告・納付」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
e-Gov法令検索「金融商品取引法 第24条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
東京証券取引所「会社情報適時開示ガイドブック(2026年7月)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
e-Gov法令検索「金融商品取引法 第24条の5」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「所得税法 第190条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「No.7400 法定調書の提出義務者」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
e-Gov法令検索「地方税法 第317条の6」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「地方税法 第383条」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
国税庁「C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「インボイス制度に関するお知らせ 法人の方へ(令和8年9月)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度特設サイト)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
e-Gov法令検索「法人税法 第75条の2」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
e-Gov法令検索「法人税法 第75条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「No.6610 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「防衛特別法人税の創設に関するお知らせ(令和7年5月・令和8年6月改訂)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「会社法 第432条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
金融庁「企業会計審議会 監査部会 事務局資料(2023年9月4日)」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2 ↩3
-
金融庁「金融商品取引法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(案)の概要」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「令和8年度(第76回)税理士試験公告」 確認日 2026-10-31 ↩