経理の職務経歴書は、どの業務を、どの範囲まで、どの立場で担当したかが一読で分かるように書きます。経理事務の中途採用では、決算や財務の業務経験が求められる傾向があるとされます1。決算のどこまで関わったかを、最初に伝えましょう。
以下は項目と書き方の型です。○の部分には、自分の事実だけを入れてください。経理が未経験の人は、経理が未経験の場合の章から読むと早いでしょう。
経理が未経験の場合
未経験の人は、経理の経験を埋めようとするより、数字を扱った経験、期限を守った経験、手順を整えた経験を、今の仕事の中から探します。下の例は型で、担当していない内容は書きません。
| 項目 | 書き方の型 |
|---|---|
| 職務要約 | ○○で○○を○年担当しました。○○の集計や○○の確認など、数字を扱う業務を経験しています。現在は日商簿記○級を学習中です。 |
| 数字の経験 | 売上の集計、レジの締め、在庫の確認、請求書の発行、経費の取りまとめなど(頻度と規模は確認できる数字のみ) |
| 手順の経験 | ○○の手順書を作成、○○の確認の順番を整理 |
| 資格 | 日商簿記○級(○年○月取得)、○級は学習中(○年○月受験予定) |
志望の理由は、働き方の希望だけで終わらせず、なぜ経理の仕事なのかまで書きます。簿記を学び始めた理由と、今の仕事で数字に関わった場面をつなげると、説明しやすくなります。「経理の仕事が簡単にできる」という書き方は避け、学んでいる内容を具体的に書きましょう。転職エージェントを使うなら、書類の添削を受けられるかも各社の公式の案内で確かめます。
書く項目
| 項目 | 書く内容 | 書き方のこつ |
|---|---|---|
| 職務要約 | 業種、経験の長さ、担当の範囲 | 最初の数行で全体像を伝える |
| 職務経歴 | 会社ごとの在籍期間、事業内容、所属と体制 | 新しい順でも古い順でもよいが、統一する |
| 担当業務 | 日次、月次、年次、税務などの区分 | 区分ごとに箇条書きにする |
| 使用ツール | 会計ソフト、基幹システム、表計算の使い方 | 製品名と、どの作業で使ったかを書く |
| 改善の経験 | 変えた手順と、その結果 | 課題、対応、結果の順に書く |
| 資格 | 正式な名称と取得年月。税理士試験は科目ごとに合格の年度を書く | 学習中のものは、その旨を明記する |
| 自己PR | 応募先の業務と重なる強み | 担当業務の事実とつなげて書く |
職務要約は、ここだけ読んでも経歴の全体が分かるように書きます。型としては「○○業の会社で経理を担当し、○○から○○までの業務を経験しました。現在は○○を主に担当しています。」の順に、業種、範囲、現在の役割を並べると整います。
改善の経験は、大きな成果でなくてもかまいません。手順書を作った、確認の順番を変えた、といった取り組みも書けます。「○○に時間がかかっていたため、○○を見直し、○○の作業を減らした」の形で、課題、対応、結果をつなげましょう。
業務範囲の書き方
下の型は、業務の区分ごとに「何を、どの範囲まで、どの規模で」を埋める形です。規模を表す数字は、自分の実績を確認できるものだけを入れます。
| 区分 | 書き方の型 |
|---|---|
| 日次 | 請求書の処理、経費精算の確認、入出金の管理(月○件、○名体制) |
| 月次 | 月次決算の○○から○○までを担当(締めの所要○営業日) |
| 年次 | 年度の決算のうち○○と○○を主担当、決算書全体の取りまとめは○○が担当 |
| 原価・在庫 | 原価計算の○○、棚卸の○○を担当(対象○拠点) |
| 資金・予算 | 資金繰り表の○○、予算と実績の比較の○○を担当 |
| 税務 | 法人税、消費税の○○を担当(最終の確認は○○が実施) |
| 給与・社会保険 | 年末調整の○○、算定基礎届の○○を担当(対象○名) |
| 指導・体制 | ○名の業務分担や指導を担当、引き継ぎ資料を整備 |
| 改善 | ○○の課題に対し、○○の手順を見直し、○○を○○に変更 |
ポイントは立場の書き分けです。「主担当」「補助」「確認者」のどれだったかを添えましょう。同じ「決算」でも、資料の準備と決算書の作成では、読み手が受け取る経験が変わります。補助だった業務を小さく見せる必要はなく、そのまま書けば十分です。
制度対応の書き方
制度が変わったときの対応は、経理らしい経験として書きやすい部分です。名称は正確に使いましょう。
- インボイス制度:正式には適格請求書等保存方式で、令和5年10月1日に始まりました2。請求書の確認手順や取引先の登録状況の確認に関わったなら、担当した範囲を書きます。
- 電子取引データの保存:電子帳簿保存法の保存義務に関わる対応です3。保存の手順やシステムの導入で何をしたかを書きます。
- 社会保険と労働保険:算定基礎届4や労働保険の年度更新5は、手続きの正しい名前で書くと伝わります。
- 上場会社の開示:四半期報告書の制度は廃止されたため6、現在の業務を書くときは、担当した書類の名前を社内の資料で確かめてください。半期報告書7や有価証券報告書8の担当範囲も、作成、確認、補助のどれかを書き分けます。
経歴に合わせた工夫
経歴によって、強調する点は変わります。応募先が求める水準は経理で年収を上げる転職の分類も参考になります。
| 経歴 | 工夫する点 | 書き方の型 |
|---|---|---|
| 事業会社の経理 | 担当の広がりと、部門との調整 | ○年○月から○○を担当、○年○月から○○へ範囲を拡大 |
| 会計事務所の出身 | 担当した顧問先の規模と業種、関わった工程 | 顧問先○件を担当し、○○業の記帳、決算の補助、申告書の作成補助を実施(最終の確認は税理士が実施) |
| 派遣で経理を経験 | 派遣先の業種と任された工程 | ○○業の経理部で○○の処理を担当 |
一社に長く勤めた人は、年ごとの経歴ではなく担当の広がりで書きます。入社から現在までに、担当が日次から月次、年次へどう広がったかを時期とともに示すと、同じ会社の中の成長が伝わります。
会計事務所の出身者は、税務の業務の書き方に注意してください。税務代理、税務書類の作成、税務相談は税理士の業務とされているため9、資格のない職員の経験は、税理士の確認のもとでの補助と分かるように書くと正確です。事業会社へ応募するときは、顧問先の数より、同じ工程を社内で担当できることを示します。決算の補助なら、どの資料から何を作ったかまで書きましょう。
税理士試験の科目合格は「税理士試験 科目合格:○○(令和○年度)、○○(令和○年度)/受験中:○○(第○回)」の形で書きます。一部の科目の合格と5科目すべての合格は違うため10、「税理士試験合格」とだけ書かないようにします。結果の発表前に応募するなら、発表の予定日も添えましょう。受験を続ける場合は、面談の早い段階で伝えると行き違いを減らせます。
次にすること
提出の前に、次の点を見直します。
- 事実と違う内容、確認できない数字が入っていないか
- 取引先の名前や、顧問先を特定できる情報を書いていないか
- 上場会社の未公表の決算情報など、守秘の対象を書いていないか
- 社内だけで通じる略語や部署の呼び名を、一般的な言葉に直したか
- 応募先の業務に関係の深い内容が、前のほうにあるか
- 同じ業務を別の言い方で重ねて書いていないか
まず、担当した業務を区分を気にせず全部書き出します。そのうえで型に沿って分類し、数字は社内の資料や自分の記録で確かめられるものだけを残します。
書き終えたら、応募先の仕事内容と並べて読み、関係の深い業務を上に移しましょう。提出の時期に迷う場合は、決算期と転職の時期も確認してください。
出典
-
job tag(職業情報提供サイト)「経理事務」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「電子帳簿保存法 第7条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」 確認日 2026-10-31 ↩
-
厚生労働省「労働保険料の申告・納付」 確認日 2026-10-31 ↩
-
金融庁「企業会計審議会 監査部会 事務局資料(2023年9月4日)」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「金融商品取引法 第24条の5」 確認日 2026-10-31 ↩
-
e-Gov法令検索「金融商品取引法 第24条」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「No.9203 税理士制度について」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「税理士試験の概要」 確認日 2026-10-31 ↩