科目合格者がサービスを選ぶときの軸は、求人の数より「次の職場で実務経験を積めるか」です。合格科目は生涯有効とされています1。一方で、税理士になるには実務経験も要ります。試験と実務の両方の計画に合う職場を探せるかどうかで見比べましょう。
実務の期間がすでに長い人は、次の職場で経験を積むことより、受験の時間を取れるかと、担当する仕事の中身を軸にします。2年相当は3,696時間です2。自分の経験が数えられるかは個別の判断なので、税理士会に確認してください。
実務経験の決まり
税理士試験の合格者などは、租税または会計に関する事務に従事した期間が通算2年以上必要です1。この決まりには、転職先を選ぶときに関係する点がいくつかあります。
| 項目 | 登録の手引の内容 | 転職で見る点 |
|---|---|---|
| 時期 | 試験合格の前後を問わない2 | 学習中の勤務も計画に入れられる |
| 除かれる事務 | 特別な判断を要しない機械的事務。単純な入出力事務を含む2 | 担当が入力作業だけにならないか |
| 時間の基準 | 2年相当は3,696時間。積み上げの限度は1日7時間、1月154時間2 | 勤務時間が短い働き方の場合の期間 |
| 合算 | 複数の勤務先を合算でき、アルバイト等も時間を積み上げて算入できる2 | 転職前の勤務を手元で記録しておく |
自分の業務が実務経験にあたるかは、個別に判断される事柄です。迷う場合は手引を読み、税理士会へ問い合わせてください。
税法科目の受験資格にも実務が関わります。会計学の2科目は令和5年度から受験資格の制限がなくなりましたが、税法科目は学識、資格、職歴などの要件のいずれかが必要です3。職歴の要件の一つが、法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事したことです3。
対象範囲を比べる
科目合格については、検索条件や登録欄に項目を設けるサービスがあります。ただし、項目があることと、科目合格者を支援の対象と書いていることは別です。どう扱うかまで明記した案内は確認できませんでした。順番に優劣の意味はありません。
| サービス | 公式が示す対象 | 科目合格の表示 | 会計事務所の扱い |
|---|---|---|---|
| ヒュープロ | 士業(税理士、公認会計士など)と管理部門4 | 絞り込みの項目は確認できず。求人名に「科目合格者歓迎」と書く例あり5 | 士業と記載。事務所の求人かは未確認 |
| 経理Jobs | 経理6 | 登録欄の保有資格に「税理士試験科目合格」6 | 経理に特化。事務所の経験の扱いは確かめる |
| MS-Japan | 管理部門と士業7 | 資格の条件に「税理士科目合格」7 | 士業と記載。事務所の求人かは未確認 |
| ジャスネットキャリア | 会計、税務、経理・財務分野8 | 検索に「税理士試験科目合格」8 | 会計、税務分野と記載 |
| ツインプロ | 会計士、USCPA、税理士、経理財務経験者9 | 公式で確認できない | 会計事務所・税理士法人を明記9 |
| ジャスネットスタッフ | 日常的な経理から公認会計士、税理士などのエキスパート向けまでの派遣10 | 検索に税理士試験の科目数ごとの項目11 | 専門職向けの求人も含むと案内10 |
ツインプロの「経理財務経験者」に、実務経験のある科目合格者が含まれるかは書かれていません。実務がない場合も対象かとあわせて確かめましょう。BEET-AGENT は管理部門の未経験者を対象外としています12。会計事務所だけの経歴が管理部門の実務に含まれるかは確認できませんでした。「税理士・科目合格に特化」と題した登録フォームはありますが13、対象の条件までは確かめていません。
どのサービスでも、次の3つを聞いてください。
- 合格科目と受験中の科目を伝えたうえで、受験の継続を前提に紹介できる求人があるか
- 会計事務所の実務を、経理の経験として見てもらえるか
- 事務所の求人と事業会社の求人のどちらを紹介できるか
事務所か事業会社か
実務の積み方は、職場の型で変わります。会計事務所や税理士法人は、複数の顧客の記帳や申告書の作成を支える仕事が中心です。事業会社の経理は、自社の取引の処理と決算が中心で、税務の一部を外部の税理士に任せる会社もあります。詳しくは会計事務所と事業会社の違いで説明しています。
税理士業務は税理士法で、税務代理、税務書類の作成、税務相談と定められています14。学習した税法を実務で使いたい人は、どの範囲を社内で担当するのかを聞いておくと、入社後の差が小さくなります。
学習の時間も確認します。第76回の試験は令和8年8月4日から6日でした15。夏の試験前に休みを取りやすいか、繁忙期の残業はどの程度かは、求人票だけでは読み取りにくい項目です。学習を続ける人を受け入れた例があるか、受験の予定をどの段階で伝えればよいかも、担当者に聞いておくと入社後の行き違いを防げます。
発表前の動き方
第76回の合格発表の予定日は令和8年11月27日で、確認日の時点で結果は未発表です15。今回から、全ての受験者に各科目の得点が通知されます16。
職務経歴書には、合格済みの科目と受験中の科目を分けて書き、合格済みの科目は年度も添えます。発表前に面談へ進むなら、発表の日付を伝えておきましょう。科目別の合格率や受験者数は税理士試験のデータにまとめています。
試験は会計学に属する2科目と、選択した税法の3科目で行われ、合格科目が計5科目に達すると合格者となります17。税法では所得税法か法人税法のいずれかを選ぶ決まりです17。残りの科目が税法なら、転職後に実務で触れる税目と学習が重なるかも、職場を選ぶ材料になります。たとえば法人の申告に関わる職場は、法人税法の学習と結びつけて考えられます。ただし、配属や担当は会社ごとに違うため、求人の説明だけで決めず、面談で具体的に聞きましょう。
次にすること
- 合格済みの科目と、残りの科目の受験計画を1枚に書きます。
- 今までの勤務を、実務経験として数えられそうな業務に分けて書き出します。
- 登録の手引を読み、不明な点を税理士会に確認します。
- 事務所か事業会社かの希望を決め、表のサービスの検索や登録欄で科目合格の項目を確かめます。
- 面談では、担当業務の範囲と、試験前の休みの取り方を聞きます。
出典
-
日本税理士会連合会「税理士の資格取得」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
国税庁「税理士試験受験資格の概要」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
ヒュープロ公式サイト 確認日 2026-10-31 ↩
-
ヒュープロ「求人一覧」 確認日 2026-10-31 ↩
-
経理Jobs公式サイト 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
MS-Japan公式サイト 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
ジャスネットキャリア公式サイト 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
ツインプロ公式サイト 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
ジャスネットスタッフ「色々な働き方」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
ジャスネットスタッフ「求人検索 詳細条件から探す」 確認日 2026-10-31 ↩
-
BEET-AGENT公式サイト 確認日 2026-10-31 ↩
-
BEET-AGENT「税理士・科目合格に特化した転職エージェント」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「No.9203 税理士制度について」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「令和8年度(第76回)税理士試験公告」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2
-
国税庁「令和8年度(第76回)税理士試験結果の発表方法の変更について」 確認日 2026-10-31 ↩
-
国税庁「税理士試験の概要」 確認日 2026-10-31 ↩ ↩2